本研究では、空間反転対称性の破れたカイラル結晶構造を持つ単体カルコゲンにおけるバルク電流誘起磁性を実現し、その詳細を明らかにすることを目的として研究を行った。この目的のためp型三方晶Teにおいて、パルス電流を印加磁場と結晶c軸方向に平行に印加し、125Te-NMR測定を行った。その結果、印加電流の強さと極性に依存するスペクトルシフトを観測し、バルク電流誘起磁性を実験的に検出することに初めて成功した。また電流誘起磁性の加圧効果を調べ、Teの電流誘起磁性には結晶のカイラル構造に起因する軌道自由度が重要な役割を果たしていることを見出した。
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