研究成果の概要 |
山口県中央部に位置する秋吉台周辺部の居住地分布の特性を把握するとともに,秋吉台上に形成された集落の詳細な事例分析を通じ,カルスト台地特有の地形・地質との対応関係や居住・生産地としての特性を検討した。その際,標高差・傾斜量・土壌・地下水系などの指標を用い,集落の土地利用の実態を検証するとともに,集落成立に関連する歴史的な資料の分析,さらに居住者への生活実態に関するヒアリング等を行うことで,秋吉台上における独自の居住環境成立の背景を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
景観構造の理解には可視要素の分析が前提となるが,秋吉台周辺の居住地に関する本研究より明らかとなるのは,地表下の不可視要素が地表面に形成された居住空間の様相に大きな影響を及ぼして来た事実である。これは建築物の在り様は土地と切り離すことが出来ず,今後の良好な居住環境・景観の整備に向け,地理的な条件を踏まえた理解が不可欠である事を意味する。また,自然災害等への対応に関しても重要な観点であり,本研究で用いた分析手法及びその成果は秋吉台のみでなく, 今後の中山間地域研究・整備の在り方にも有益な知見を有するものと考える。
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