本研究では,大腸菌の外膜小胞と呼ばれる細胞外ナノ粒子を用いたタンパク質分泌生産プロセスの開発と,外膜小胞により形成誘導されるフロックと呼ばれる自己凝集体を用いた有害物分解反応を検討した.外膜小胞の生産では,膜関連遺伝子の2重欠損により約30倍に促進した.さらにヒトインターフェロンの組換え生産により,外膜小胞を介した分泌生産が可能であることを実証した.フロック形成では,有機リン系農薬であるパラチオンの中間分解物であるパラオキソンの分解酵素ホスホトリエステラーゼをフロック表面に修飾させたが,分解反応速度は向上せず,活性を維持した状態での発現が課題として残った.
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