研究課題
若手研究(B)
ホールスラスタと呼ばれる高密度なプラズマを生成するイオン推進機において、周方向に現れる不均一なプラズマ特性分布が、磁化された電子の流れに影響を及ぼしている可能性がある。本研究では、あえて周方向不均一に推進剤ガスを供給して推進機を作動させ、この時形成されるプラズマ特性分布および電子の挙動を、高解像度プローブ計測実験とプラズマ流れシミュレーションによって明らかにした。
宇宙推進工学
ホールスラスタなどの磁場閉じ込めを用いるイオン源において、磁力線を横切る方向の電子の挙動は未解明の物理現象であった。本研究で得られた周方向プラズマ特性分布の形成と電子の挙動に関する知見は、この未解明物理の理解に貢献するものである。特に、周方向プラズマ特性はこれまで取得が困難とされていたものであり、本研究で得られた実験データの学術的意義は大きい。磁化された電子流れに関する物理解明は、マグネトロンスパッタ装置など他のイオン源の性能向上にもつながるものであり、社会的意義がある。