研究課題
若手研究(B)
建造後の船内振動の低減化を図るため,外部電力を必要としない安価な装置として動吸振器に着目し,その設計法と効果について検証を行った.動吸振器を船の居住区全体の振動に適用する場合について,複素モード解析と感度解析,最急降下法を用いた最適設計法を構築し,国際基準に基づく振動評価基準値を最小化する板厚構成や動吸振器による効果を数値計算結果から確認した.船の居室の床面振動に動吸振器を適用する場合については,実船にて試作機を設置し,実測結果から動吸振器によってローカルな振動を低減化できる可能性を確認した.
振動
本研究では複素モード解析と最急降下法に基づく最適化を構築しているが,最急降下法に必要な勾配情報を複素モード解析結果から理論的に導出しており,厳密解と一致する勾配値を最小限の計算により求めることが可能となった.また,実船において試作型の動吸振器を設置し,実測結果から振動を低減化できる可能性を確認しており,今後のさらなる実証実験により海事分野における振動問題解決への貢献につながる.