現在の癌治療において、癌転移を標的とする治療薬は開発されていない。その原因の一つは、癌転移の分子機構が未だ解明されていないことにある。本研究では、ヒトスキルス胃がんの腹膜転移細胞モデルを用いた解析により、これまで癌の転移で機能の知られていない数多くのlncRNAが癌の転移能獲得に伴って発現変動していることを明らかにした。本研究の成果は、腫瘍におけるlncRNA発現レベルが癌転移を予測するための転移予測マーカーをして利用できることを示唆している。今後、さらに研究が進むことで、将来的に癌転移の分子機構解明の一端を解き明かすだけでなく、癌治療薬の開発に繋がる可能性を秘めている。
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