正常上皮細胞層に生じた変異細胞や死細胞は、上皮組織から積極的に排除されることが知られている(apical extrusion)。しかし、その詳細なメカニズムは不明であった。本研究は、細胞内カルシウムに着目し、上皮細胞における変異細胞の認識メカニズムを明らかにすることを目的とした。RasV12変異細胞内でカルシウム濃度が増加し、連続して、同心円状に周囲の複数の正常細胞に渡って、カルシウム濃度の増加の伝搬を発見した(カルシウムウェーブ)。解析の結果、カルシウムウェーブは、apical extrusionのトリガーであり、変異細胞の排除を促進する役割があることを明らかにした。
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