“低緯度で温暖な地域ほど種多様性が高い”という緯度勾配パターンは広く知られているが、このパターンをもたらす要因は未解明である。本研究では、温帯の森林に生息する甲虫の種多様性の緯度勾配をもたらす要因について明らかにするため、低緯度と高緯度の地域の集団間での遺伝分化を調べた。その結果、低緯度に比べて高緯度で、集団間でより遺伝的に分化しているという、逆のパターンが存在することが明らかにされた。現在よりもより寒冷だった氷期には、高緯度地域のほうが森林のような環境はより限られた場所にのみ存在しており、生息環境が限られて不連続であったために、遺伝分化が進んだのだと考えられる。
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