多くの種の女王アリでは、交尾後に、オスから受け取った精子を受精嚢の中で10年以上にもわたって保存することが知られている。本研究では、この長期間の精子貯蔵に関わる分子を探るため、受精嚢の機能と貯蔵精子の生理状態を明らかにすることを目的とした。研究期間中に、これまでに明らかとなっていた、受精嚢での高発現遺伝子の全長配列の決定とRNAi法の準備をおこなった。また、貯蔵後5年経過した精子でも、受精嚢内で不動化されたままであることを明らかにした。貯蔵精子を受精嚢外に取り出すと動き出したことから、受精嚢内に不動化させる物質があること、精子は鞭毛の機能を損なわない状態で貯蔵されていることも明らかとなった。
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