ヘテロシス(雑種強勢)は、交雑によって得られた後代が親を上回る現象で、農作物の多収に貢献しているが、その分子機構は不明である。そこで、テンサイの初期生育におけるヘテロシスの発現を調査した。表現型解析の結果、ほぼ全身のバイオマスに関する形質でF1は親よりも大きく、直根の肥大には細胞サイズが寄与していることが示唆された。また、相対成長速度がF1で親よりも高かった。そこで、葉および直根の遺伝子発現解析を行ったところ、F1のバイオマス増加を直接説明できる代謝経路の促進は見られなかった。これらの結果から、テンサイ初期生育におけるヘテロシスの発現には多数の遺伝子が関与していることが示唆された。
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