研究課題
若手研究(B)
本研究では、ヒストン修飾に関与するPRC2(ポリコーム複合体)構成因子をコードするOsEMF2aが、イネの胚乳発生を制御することを明らかにした。また、Osemf2a変異体におけるRNA-seqおよびChIP-seq解析から、胚乳発生に関与するOsEMF2aの標的遺伝子を見出した。加えて、Osemf2a変異体において、受精せずに胚乳発生が進行する自律的胚乳発生を観察し、自律的に発生した胚乳ではタンパク粒やデンプン蓄積が起こることを明らかにした。
植物遺伝育種学
イネの胚乳は、可食部となる器官であり、その大きさや品質が商品価値を決定する主要因であるため、胚乳の発生機構の理解は農作物としてのイネの重要な課題である。そのため、胚乳発生制御を担うPRC2の機能とその標的遺伝子を明らかにできたことで、胚乳発生制御ネットワークの理解が深まると期待される。また、イネの胚乳におけるPRC2の機能に関する報告は本研究が初めてであり、PRC2の機能が広範な植物種に保存されていることを示すことができた。