カナダ永久凍土地帯のクロトウヒ林において、過去200年間の凍土マウンドの発達速度を年輪解析によって推定した。この結果、現在の温暖化がマウンドの発達を促進する一方で、長期的に温暖化が継続されればマウンドが崩壊することが示された。リターバッグ試験から、地衣類リターの分解速度が最も遅く、マウンドにおける地衣類の生産量がマウンドの土壌炭素蓄積量に重要であることが示された。温暖化影響については、短期的な温暖化であれば地衣類リター生産量の増加によって土壌炭素蓄積量は増加しうるが、温暖化によってマウンドが崩壊した場合には、維管束植物のリター供給が増加し、土壌炭素蓄積量が低下することが示唆された。
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