近年,イカナゴの漁獲量は激減し,有効な資源管理策の導入が急務となっている.本研究では,イカナゴの成熟に必須な夏眠と,栄養状態により,その年の繁殖を見送る“繁殖スキップ”に着目し,生理学的基盤を指標とした資源動態の予測法の確立を目指した.本研究により,日本沿岸に生息するイカナゴ属魚類の成熟年齢は生息海域で大きく異なること,水温の影響を受けて繁殖スキップを行うこと,さらにその影響には地域差が存在する可能性が示唆された.したがって,有効な資源管理策の導入のためには,各海域ごとの繁殖生態の違いを詳細に検討し,各海域ごとの対応策が必要であることが明らかとなった.
|