本研究の目的は、MAPK/ERKシグナル伝達経路の遮断が、BRAF V450E変異を有する犬前立腺癌に対して抗腫瘍効果を発揮しうるか明らかにすることである。RAF、MEKおよびERKの選択的阻害は、in vitroにおいて犬前立腺癌細胞の増殖を抑制した。さらに、RAFおよびMEK阻害剤はin vivoにおいて、重大な副作用を起こすことなく腫瘍の増大抑制または縮小効果をもたらした。この結果は、BRAF変異が犬前立腺癌細胞の増殖や生存に関わるドライバー変異であることを示唆するものであり、MAPK/ERKシグナル伝達経路の遮断は、犬前立腺癌の新たな分子標的治療法として有用であると考えられる。
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