ヒトのAPOBEC3Gタンパク質 (A3G) は、ウイルスのマイナス鎖DNA中のシトシンをウラシルに脱アミノ化することで、HIV等のレトロウイルスに対する生体防御として機能する。HIVのVifタンパク質 (Vif) はA3Gを無力化する。ヒト細胞内では、Vifは4種類のヒトタンパク質と結合し、分子量100 kDa程度からなる五者複合体 (Vif複合体) を形成する。本研究では、Vif複合体中の単一のタンパク質のみを安定同位体標識し、そのNMRスペクトルを得た。次いで、Vif複合体とA3GのC端ドメインの相互作用することにより、Vif複合体は、A3Gによる脱アミノ化反応を阻害することを示した。
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