本研究において、母子の栄養不良の二重負荷と社会経済的要因の関連を検討し、母親の教育歴により児童の身体発育状況に違いがある可能性が示唆されたことから、家庭環境によらず学童自身が健康的な食習慣を身につけることができる取り組みや環境改善の必要性を提示した。また多くの低中所得国では、児童生徒が自身の発育状況を定期的に確認する機会が欠如している。そこでより迅速で簡便な測定ツールの基準値の探索を行い、上腕周囲径による栄養不良の予測能は小学生においても診断精度が高いこと、また年齢群に応じたやせと過体重の最適基準値を示したことは、同様の社会的文脈を持つ低中所得国での汎用性が高く社会的意義が大きいといえる。
|