呼吸器疾患の臨床において、肺癌合併特発性肺線維症の予後は極めて不良であり、現在においても、有効な治療法は存在しない。肺線維症の経過観察中に肺癌を発症する症例が、少なからず存在する事から、両疾患に共通する分子経路が存在する事が示唆される。本研究において、肺癌の癌抑制性マイクロRNAの中にECMに関連する遺伝子群を制御するマイクロRNAがあることを明らかにした。さらにこれらの癌抑制型マイクロRNAは肺線維症においても発現が抑制されており、線維化から癌化への移行に関わるマイクロRNAである事が示唆された。マイクロRNAが制御する機能性RNAネットワーク解析は、本疾患の病態の解明に有効な戦略である。
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