液胞型ATPase(V-ATPase)はオルガネラ小胞のpHを調節し、タンパク質の細胞内・外の輸送に関与している。今回、V-ATPase阻害による線維化抑制効果について腎内構成細胞で検討した。まず、マウス腎皮質集合管由来のM1細胞を使用し、TGF-β誘導性の線維化に対するバフィロマイシン(BAF:V-ATPase阻害薬)の効果を検討した。TGF-β誘導性に増加した線維化タンパク質等は、V-ATPase阻害により細胞質内オルガネラにとどまっていた。次に、腎線維化モデルであるUUOにてBAFの腎線維化抑制効果を検討したが、肝毒性が強く、腎線維化の治療としてBAFを使用することは困難と考えられた。
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