多発性骨髄腫は難治性の血液腫瘍であり、特に高齢者に好発する。これまで、複数の抗がん剤治療が開発されているが、治療後の再発も多く、根治は困難である。また、高齢者では治療による毒性も問題となり、従来の治療とは異なったアプローチが必要と考えられる。本研究成果は、骨髄腫の増殖と進展が特定の交感神経受容体刺激によって抑制できる可能性を示唆する点が新しい知見であり、生体において骨髄腫が交感神経との相互作用によって制御されていることが予想される。さらに、実際に臨床で使用される交感神経作動薬を用いてマウス実験において治療効果が確認されており、将来は臨床での応用も可能と考えられる。
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