小児がんは治療成績が向上してきているが、未だに難治な症例も少なくなく、治療にも治療後の晩期障害も大きな問題です。そこで、詳細な分子機構に基づく、安全で治療効果の高い新たな分子標的薬の開発が望まれています。最近、膜蛋白質ADAMファミリーは、様々なヒトがん腫において発現変動が報告されていることから、患者検体における解析を行った結果、肝芽腫において特異的に発現亢進する分子としてADAM32を見出しました。そして、ADAM32の細胞機能を、肝芽腫細胞株を用いて解析した結果、細胞遊走・浸潤、幹細胞性、また抗がん剤に対し抵抗性を有することが明らかになり、がん治療の分子標的となる可能性が示されました。
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