統合失調症では認知機能障害が認められる。認知機能に中心的役割を有する大脳皮質の前頭前野では、興奮性の錐体ニューロンにおいて棘突起の減少やRGS4やアクチン制御遺伝子といった遺伝子の発現変化が認められる。この変化が起こるメカニズムにRNA結合タンパク質であるstaufen2(STAU2)が鍵遺伝子となって、認知機能障害の分子病理に関連するかを死後脳解析により検証した。結果、統合失調症の前頭前野の全灰白質でSTAU2発現は変化を認めなかった。よって、STAU2発現は皮質層・細胞特異的な変化を受けている可能性や、錐体ニューロンで観察される変化にはSTAU2とは別の因子が関与する可能性が考えられた。
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