研究課題
平成29年度の研究計画として、1. ATM阻害剤投与下での、X線照射による腫瘍細胞のPD-L1発現が低下することを確認すること、2. siRNAと共培養でBRCA2, ku80をノックダウンした腫瘍での、X線照射による腫瘍細胞のPD-L1発現の増加を確認すること、以上二つを掲げた。1. について、B16マウスモデルで実験を開始したが、B16が本来有する色素のため、免疫染色での評価が困難であった。そこで、移植腫瘍細胞を4T1に変更し実験を継続した。両下肢に腫瘍を移植し、ATM阻害剤を腹腔内投与し、右下肢のみ放射線照射を行い、48時間後にマウスを安楽死させ腫瘍組織を回収した。免疫染色にて、PD-L1発現及びCD8陽性細胞の浸潤レベルの比較評価を行ったが、ATM阻害剤腹腔投与群と投与なし群で、明らかな差を認めなかった。2. については現時点で未施行であるが、それに代わり、現在は、当初予定していたX線照射後と、重粒子線(炭素イオン線)照射後のPD-L1発現率の差、CD8陽性細胞の浸潤レベルの差について解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
上述の通り、当初予定していた二つの実験のうち一つの実験を、変更し遂行中であるため、おおむね順調に進展していると判断した。具体的には、マウス移植腫瘍に対するX線照射後と、重粒子線(炭素イオン線)照射後のPD-L1発現率およびCD8陽性細胞の浸潤レベルの差について解析を進めている。
マウス移植腫瘍に対する、X線照射後と重粒子線(炭素イオン線)照射後のPD-L1発現率およびCD8陽性細胞の浸潤レベルの差について解析を完了する。申請者の過去の報告から、重粒子線照射の方が、X線照射よりもPD-L1発現誘導が亢進すると予想される。そこで、照射後のPD-L1発現亢進が抗PD-1/PD-L1抗体治療による腫瘍増殖抑制を増強させるかを評価する。具体的には、治療方法を以下の4群に分けて解析する;①X線照射+抗PD-1/PD-L1抗体投与群、②重粒子線照射+抗PD-1/PD-L1抗体投与群、③抗PD-1/PD-L1抗体単独群、④未治療群。腫瘍細胞株は4T1使用する。
平成29年度の実験計画を一部変更したため、当初使用予定であった試薬(siRNA二種類)を購入しなかった。平成30年度に、変更後の実験が完了した後に改めて購入を検討している。
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Nature Communications
巻: 8 ページ: -
10.1038/s41467-017-01883-9