日本をはじめとする東アジア圏で罹患者数が多い食道扁平上皮癌について、一般に癌細胞が曝露されていると考えられる低酸素環境と、細胞の自浄機能の一つで2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞したことで話題となったオートファジーとの関連性を調べる研究を実施した。大阪大学医学部附属病院消化器外科で手術を受けた食道癌患者159例の臨床切除検体について低酸素環境、オートファジーに関わる因子の発現を調べた。また、食道癌細胞を用いて、低酸素環境下でオートファジーに関わる因子が誘導されるか調べた。その結果、低酸素環境は細胞死などに関わるミトコンドリアに対するオートファジーを惹起している可能性が示唆された。
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