超音波処理により細菌のバイオフィルムを破砕し、NGS (Next-Generation Sequencing)による培養不可能な複数細菌の検出が可能であると考え、インプラント周囲感染及び整形外科感染症の新規診断法の確立を目的に検証した。 対象は標準菌株の他、臨床検体を中心に行い、NGS臨床応用へむけ、感染症診断におけるプロトコールの構築と問題点を検証した。複数コントロールおよび臨床サンプルによる条件検証を何度も行い、シーケンス精度・DNA汚染の検討を行いつつ臨床検体の解析を施行した。解析手法もクラウドを用いた解析以外にも、QIIMEを用いた解析も行い比較検証した。研究の結果よりNGSは、培養検査で検出できなかった細菌の同定が可能で、感染症例においても培養検査結果で検出されている細菌以外にも細菌を認めた検体もあり、非感染疾患においても単一細菌が多く存在し、これまで同定できなかった複数細菌における感染や非感染疾患における細菌の存在など考えられシーケンス機器の有用性を確認した。本研究はMOCK、陰性コントロールとして検体に使用した生理食塩水、大腸菌の希釈系列を作成し精密な評価・検証を行っており、あらゆるコンタミに配慮した。当科の検証の結果、陽性・陰性コントロールによる精度検証から菌量が少ない場合、溶液・試薬に含まれる微量な細菌DNAによる影響を多く認めていた。今後、陽性・陰性コントロールを置いてNGS精度の確認をした上で、NGSの解析や解釈を行うことが必須である。
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