外傷性脳損傷による後遺症である高次脳機能障害を有する患者が全身麻酔を受けた場合,術後に高次脳機能障害が増悪することが問題となっている.本研究において,吸入麻酔薬による全身麻酔を受けた外傷性脳損傷モデルマウスは,術後高次脳機能障害を発症したが,デクスメデトミジンを併用して吸入麻酔薬による全身麻酔を受けた外傷性脳損傷モデルマウスには,術後高次脳機能障害は発症しなかった. 本研究の結果から,外傷性脳損傷モデルマウスにおいて,吸入麻酔薬による全身麻酔の際にデクスメデトミジンを併用することで,海馬に集積した骨髄由来ミクログリアの活性化を抑制し,術後高次脳機能障害の発症を予防できる可能性が示唆された.
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