研究課題
本研究課題は、腎移植後合併症と組織適合性及び自然免疫応答の関連性を明らかにすることである。・腎移植レシピエント318名における遺伝子座19q13.4付近のKIR遺伝子についてセントロメア側とテロメア側のKIRハプロタイプを決定し、16種からなる抑制型KIR及び活性型KIRの分類、移植ドナーとのKIRリガンドミスマッチの有無を決定した。セントロメア側cA01/cA01群272名、cA01/cB01群7名、cA01/cB02群35名、cB02/cB02群4名、テロメア側tA01/tA01群202名、tA01/tB01群103名、tB01/tB01群13名であった。・腎移植レシピエント130名を対象に、悪性腫瘍発症19名(主な固有腎癌4名、PTLD 4名、固有腎癌3名、前立腺癌3名、乳癌3名、胃癌2名、舌癌2名などで、複数癌発生は4名)への影響を評価したところ、KIRリガンドミスマッチ無群は同ミスマッチ有群に比べて発生頻度が高い傾向があった。また一部の症例によるPBMCを用いたNK細胞活性の比較では、癌発生群は非発生群と比較して有意に低かった(p<0.05)。A24&Bw4及びCwに対するKIRリガンドミスマッチ群のNK活性が高い傾向にあり、KIR-Bハプロタイプ保有群では非保有群に比較して有意に高い活性を示した(p<0.05)。・ウイルス感染症とKIRリガンドミスマッチの関連性解析において、BKウイルス腎症発症とのカプランマイヤ―解析では特定のKIRリガンドミスマッチ群において有意に発症頻度が高いことが示唆された。サイトメガロウイルス感染症発症では、抑制系KIRとHLA-Cw座のミスマッチを有する群において、累積発症率が有意に高いことが示唆された(同ミスマッチ数が多いほどリスクが上昇)。国際共同研究として進めていたが、COVID-19パンデミック以降中断していたため、科研費研究としては終了とする。
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BMC Nephrology
巻: In press ページ: In press
10.21203/rs.3.rs-2094408/v1
Journal of the American Society of Nephrology
巻: 33 ページ: 186~200
10.1681/ASN.2021050715