聴神経腫瘍の発生にはNF2遺伝子の異常が最も重要であると考えられている。NF2遺伝子は22番染色体長腕に存在し、腫瘍抑制タンパクであるMerlinをコードする。このMerlinの働きが失われることにより、腫瘍が発生すると考えられている。 このMerlinタンパクは多くの重要なシグナル伝達系との関わりが報告され、複雑なパスウェイを形成している。本研究でもNF2遺伝子の変異が最も多くみられ、重要な因子であることは間違いないが、全ての症例でNF2遺伝子変異が認められるわけではない。どのような仕組みで腫瘍が増大や聴力悪化を引き起こすのかについて、現在さらに解析を進めている。
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