開放隅角緑内障における新規病態マーカーの戦略的探索

2019 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 17K16969
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 基金
• 研究分野: 眼科学
• 研究機関: 鳥取大学
• 研究代表者: 川本 由紀美 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (00759920)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: 緑内障 / サイトカイン

研究成果の概要

緑内障眼において、IL-1β, IL-2, IL-5, IL-6, IL-8, IL-10, IL-12, IL-13, IL-15, IL-17, IFN-γ, TNF-α, MCP-1, VEGFなど多くのサイトカインが術前眼圧と高度に相関していた。緑内障の有無の判別には　IL-8上昇が最も高いオッズ比を示した。また、IL-8上昇が線維柱帯切除術後の予後不良（眼圧再上昇）に関連していた。さらに、ヒト線維柱帯に対して、IL-8,　MCP-1、さらにサイトメガロウイルス感染が、何れも細胞間結合や細胞骨格経路の再構築を活性化させ、細胞移動能力を制御していることが判明した。

自由記述の分野

眼科学

研究成果の学術的意義や社会的意義

緑内障の病態マーカーは、これまで報告があるが、病態において特異的に上がるサイトカイン種の解析に限られていた。しかしながら、疾患を分類し得るのみでは、それが実際に病態を反映しているのか明らかではない。本研究では、緑内障において重要な病態を代表する項目として、眼圧、視野、緑内障手術予後に関わるマーカーを抽出することを試みた。このようなマーカーは、実際に標的治療としても利用できる可能性があるため、ヒト線維柱帯細胞を用いて、その分子病態的意義まで検証を進めた。この経路の詳細な解析あるいは検証により、新たな治療薬やストラテジーの創出につながる可能性がある。