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2019 年度 実施状況報告書

ヒト脂肪由来幹細胞シートを用いた糖尿病足潰瘍の新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K17036
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

加藤 ゆか  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20646616)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード再生医療 / 脂肪由来幹細胞 / 細胞シート工学 / 糖尿病足病変 / 創傷治癒
研究実績の概要

糖尿病足病変(足潰瘍、足壊疽)は神経障害や血管障害を合併した破壊的病変で、自覚症状に乏しく早期発見が困難であり、易感染性かつ難治性である。患者数は 年々増加しており、糖尿病診療における大きな問題の一つとなっている。症状が進行すると下肢切断を余儀無くされ、その生命予後は不良であるため、早期に創傷治癒を促す新規治療法の開発が求められているが、有効な治療法は確立されていない。そこで、細胞シート工学を用いた再生医療と現在用いられている人工真皮を組み合わせ、有効な治療法の確立を目標とした。 我々は、すでに作製に成功しているラット脂肪由来幹細胞シートと人工真皮を併用した創傷治癒促進について、肥満2型糖尿病モデルラットの他家移植で成果を 示したが(Katoら Diabetes 2015)、実験における再現性、確実性を重視し、プロトコルの詳細な手順、注意点等を細かに記載した論文を発表し、手順の映像も示 した(Katoら Journal of Visualized Expreriments 2017)。また、当研究チームの濱田を筆頭に、5名のヒト脂肪細胞から抽出した脂肪幹細胞において、染色体検査、自己複製能、多分化能、表面抗原マーカーの確認、培養上清における成長因子の定量解析、細胞増殖率、生存率、剥離試験を施行し、評価を行った。作製したヒト脂肪由来幹細胞シート(hASCシート)を肥満2型糖尿 病モデルラットに移植を施行し、hASCシート作製のプロトコルを確立することに成功した(Hamadaら Regenerative Therapy 2017)。肥満2型糖尿病モデルラットの創部において、hASCシートは異種移植で有意な治癒促進が観察された。今後は、hASCシートの長期的な安全性確認と、ヒト臨床治験を見据えた大動物実験への移行を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

我々は、すでに作製に成功しているラット脂肪由来幹細胞シートと人工真皮を併用した創傷治癒促進について、肥満2型糖尿病モデルラットの他家移植で成果を示したが(Katoら Diabetes 2015)、実験における再現性、確実性を重視し、プロトコルの詳細な手順、注意点等を細かに記載した論文を発表し、手順の映像も示すことが出来た(Katoら Journal of Visualized Expreriments 2017)。また、当研究チームの濱田を筆頭に、5名のヒト脂肪細胞から抽出した脂肪幹細胞において、in virtoにおける評価を行うことが出来た。作製したヒト脂肪由来 幹細胞シート(hASCシート)を肥満2型糖尿病モデルラットに移植を施行し、hASCシート作製のプロトコルを確立することに成功した点においても、2017年度までは、経過としては順調と考えている(Hamadaら Regenerative Therapy 2017)。肥満2型糖 尿病モデルラットの創部において、hASCシートおよび人工真皮の併用は異種移植で有意な治癒促進が観察されたため、ヒト臨床治験への前進と考える。2018年度は、研究代表者の妊娠による体調不良、出産、育児などで研究を一時中断とし、2020年4月より研究再開を予定していたが、covid-19の影響で、病院の方針により施設移動を余儀なくされ、また、研究施設の一時的な閉鎖に伴い、再開の見通しが不明な状況である。

今後の研究の推進方策

ヒト脂肪由来幹細胞シート(hASCシート)の移植に関しては、4週間までの評価しか行えていないため、12週間を目標とした長期的な評価を検討していく。また、同時に、移植細胞の分化運命をたどることの施行も検討する。 糖尿病ラット由来の脂肪、正常ラット由来の脂肪について、各々で細胞シートの作製を試みたが、糖尿病ラットにおける細胞シートの作製は成功しなかった。この点において、今後、他家移植を推進していく上で重要な理由となり得ると考えるため、原因の解析を検討したい。そして、ヒト臨床治験を見据えた大動物実験への移行を検討している。

次年度使用額が生じた理由

2018年度および2019年度は、妊娠および出産、それに伴う体調不良と育児休暇によって、動物を用いた研究を一旦中断していたため、デスクワークでの研究のまとめや資料分析、学会での情報収集が研究活動のメインとなった。
2020年度は、covid-19が落ち着き、研究再開が可能になり次第、細胞を用いた研究を再開し、ヒト臨床治験を見据えた大動物実験への移行と、ヒト脂肪由来幹細胞シート(hASCシート)のより簡易で安全性の確認されている作製方法を模索していきたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 糖尿病患者におけるフットケア行動のセルフエフィカシーの実態調査 DIACETを用いた解析2019

    • 著者名/発表者名
      井倉和紀,加藤勇人,東晴名,岡征児,小田友里,濱田真理子,加藤ゆか,馬場園哲也
    • 学会等名
      日本下肢救済・足病学会
  • [学会発表] 糖尿病患者における足潰瘍発症と心電図R-R間隔変動係数との関連2019

    • 著者名/発表者名
      東晴名,井倉和紀,加藤勇人,岡征児,小田友里,濱田真理子,加藤ゆか,馬場園哲也
    • 学会等名
      第62回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] 糖尿病足感染症の創閉鎖に対する栄養評価法の検討2019

    • 著者名/発表者名
      小田友里,井倉和紀,東晴名,加藤ゆか,馬場園哲也
    • 学会等名
      第62回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] 糖尿病足感染症の創閉鎖に対する好中球・リンパ球比の影響2019

    • 著者名/発表者名
      井倉和紀,加藤勇人,東晴名,岡征児,小田友里,濱田真理子,加藤ゆか,馬場園哲也
    • 学会等名
      第17回日本フットケア学会年次学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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