マウスで実験を行う予定であったが骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)からのエクソソーム回収が困難であることから、対象動物のみラットへ変更して実験を実施した。 エクソソームの分離:ラット大腿骨骨髄よりMSCを培養し、その上清を回収して超遠心法でエクソソームの分離を行った。回収されたエクソソームは走査型電子顕微鏡(SEM)で粒子の確認を行った。 エクソソームの特性解析:エクソソームには様々な物質が内包されているがその中でもmiRNAに着目した。回収されたエクソソームからmiRNAを抽出して網羅的解析を行った。分化前、分化後のMSCからそれぞれエクソソームを回収して、MSCの分化時期でのmiRNAの発現の相違を検討した。MSCの骨分化誘導にはrBMPを用い、分化誘導後4日目のエクソソームを回収した。2倍以上の発現上昇が認められたものはmiR99a、miR22、miR199a、miR23b、miR23a、1/2以下の発現低下が認められたものはmiR34a、miR376c、miR375、miR1298、miR503であった。また、回収したエクソソームからmRNAを抽出して骨分化に関連する遺伝子の発現を調べた。分化させたMSCから回収したエクソソームではRunx2、Bmp2、Alp、Ocnの発現が上昇していた。 エクソソームの骨芽細胞への取込:PKH26標識したエクソソームを培養骨芽細胞へ添加してその取込を観察した。添加後12時間以降でエクソソームの取込が観察され、約13%の細胞にPKH26の発現が確認された。さらにエクソソーム添加後の骨芽細胞において骨分化マーカーの発現解析を行ったところ、添加しなかったものと比較してRunx2、Alpの発現が上昇し、かつ分化前エクソソームよりも分化後エクソソームの方がさらに発現上昇が確認された。 現在エクソソームの骨形成効果を移植実験を含め進行中である。
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