本研究は,幹細胞が分泌するパラクライン因子に含まれる嚥下障害改善に関与する因子を調べ,その因子群を嚥下障害モデルに適用し治療効果を検討することであった.近年,上喉頭神経が嚥下を誘発する受容器を支配していることがわかっている.そこで,ラットの上喉頭神経を圧挫し嚥下障害モデルを作製した.そのラットに培養上清を投与すると,嚥下機能が劇的に回復した.培養上清を網羅的に解析した結果,炎症抑制する因子,神経再生促進する因子,血管新生を促進する因子が含まれており,それらが機能回復に寄与していると考えられた.本研究では,幹細胞が分泌する培養上清が嚥下障害に対して治療効果があることが示唆された.
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