口腔扁平上皮の発癌段階にマクロファージが関与する可能性を検討するため、本研究では舌白板症の臨床検体を用いた免疫組織化学やヒト口腔ケラチノサイトおよびヒト単球系白血病細胞株を用いた培養実験による検討を行った。口腔上皮内病変ではCD163を発現するマクロファージ由来の液性因子により、上皮細胞のIL-10の発現が誘導され、腫瘍免疫抑制を介して発癌に関与する可能性が示された。さらには、口腔扁平上皮の発癌過程においてCD163陽性マクロファージの局在が変化することも明らかにし、この組織形態学的変化は日常の生検診断に応用できる可能性も見出した。
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