血中二酸化炭素(CO2)濃度の上昇により動脈血液中のpHが低下すると、呼吸リズムを変化させることが知られている。除脳ラット経動脈灌流標本を用いて、上気道構成筋群、胸郭を支配する運動神経の活動への影響を調べた。 除脳ラット灌流標本を作製し、横隔神経(PN)、第一、第二頸髄神経の枝(CN)、上喉頭神経(SLN)、舌下神経(HGN)、反回神経(RLN)、肋間神経(ICN)から、呼吸に同期した複合活動電位を記録し、運動神経の記録を筋活動の指標にした。 CO2濃度上昇により、上気道開大筋群の神経活動は横隔膜の神経活動開始のタイミングを基準として有意に先行して記録された。また、上気道開大筋群の中においても、神経活動の発火のタイミングに差が生じた。さらに、呼息筋である腹直筋においては、呼息相に強く運動神経の活動が記録された。 CO2濃度の上昇により、上気道を構成する各筋群が先行して活動することにより、効率的な上気道の開存性向上、協調を取ることが示され、さらに、呼息筋である腹直筋、肋間筋の運動がより強力に活動し、強制換気による高二酸化炭素血症を改善する効率的かつ生体変化に合目的な変化である可能性が示唆された。なおこれらの研究成果は2019年12月21日開催の第8回スポーツ運動科学学術研究発表会にて発表された。
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