研究課題
若手研究(B)
脳損傷後の障害の評価は障害者の自立度を反映する機能や日常生活活動に焦点をあてて行われることが多い。言語機能障害(失語症)は日常生活の遂行だけでなく生活の豊かさにも影響を与えるため,生活の質(quality of life: QOL)に注目した評価が求められる。しかし,失語症者のQOLに関する研究は非常に少ない。本研究ではリハビリテーションを受けた失語症患者のQOLに焦点を当てて調査を行った。言語機能とは異なり,QOLは経時的に改善しない可能性があることが明らかになった。
リハビリテーション医学
学術的意義:失語症の方において言語機能が改善してもQOL(生活の質)は低下する可能性があることが示された。本研究の結果からはリハビリテーションの効果判定には言語機能だけでなく,QOL評価尺度を用いることが望ましいと考えられた。失語症におけるQOLの低下は言語機能よりも年齢や失語症のタイプの影響を受ける可能性が示された。社会的意義:機能評価を中心とした従来の失語症のリハビリテーションの考え方に,コミュニケーションや生活の質を重視するあるいは明確にする視点をもたらす材料になると考えられる。