本研究の目的は、救急医療施設のエンドオブライフケアにおいて、新卒看護師が直面する問題に対する支援の現状とニーズを分析し、新卒看護師のエンドオブライフケア実践能力の獲得と向上を目指した教育プログラムを開発することである。 本研究では、救急医療施設の新卒看護師を対象とした面接調査をおこない、エンドオブライフケアを実践するなかで新卒看護師が直面する問題と支援の現状、そしてニーズの実態を明らかにした。 まず、患者・家族のケアに関する問題として、短時間で変化する患者の状態をアセスメントすることが難しい、循環動態が不安定な患者に触れることが怖い、出会って間もない家族に思いを寄せることが難しく関わりづらい、家族にとっては自分も一人の看護師であるため責任を感じる、未熟で無力な自分が重症な患者や家族のケアをおこなっていることに葛藤を感じる、急変対応や重症な患者のケアにおいて看護基礎教育と実践とのギャップを感じる、ことが明らかとなった。 次に、自己研鑽に関する問題として、一般的な知識と目の前の患者の状態をつなげて考えることが難しい、重症な患者よりも受け持つ機会が多い患者の勉強を優先してしまう、医師や先輩看護師に相談しづらい時がある、重症な患者の病態は複雑に関連することが多すぎて断片的にしか調べることができない、外部の研修には参加しづらい、ことがわかった。 また、救急医療施設においてエンドオブライフケアを実践する新卒看護師のニーズとして、看護基礎教育で学ぶ機会が少ない重症な患者や家族の看護について入職時から学んでおきたい、参考書ではなく実際に受け持った患者の事例をもちいて教えてほしい、実践的なロールプレイや看護技術の練習がしたい、先輩看護師たちの看護技術や考え方を見たい・知りたい、勤務後だけでなくゆっくりと振り返るための時間を確保してほしい、ということが明らかとなった。
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