2021年度は、世界的なコロナウイルスの流行に伴い、引き続き国外での調査を行うことができず、昨年度から計画していたカザフスタンの研究協力者の招聘も実現できなかった。とはいえ、これ以上、本研究課題を継続延長することは、研究代表者の年齢と若手研究Bという研究種目の性質上好ましくないと考え、2021年度にて研究をクローズすることにした。 2021年度は、コロナ禍の影響を受けた2020年度に引き続き、これまでの研究蓄積のアウトプットに注力した。まず、5月から6月にかけ、小アラル海が位置する昨今のカザフスタンの牧畜政策について、2018年制定の「放牧地法」に着目し、小アラル海地域でのその執行の状況と今後の展望についての内容を含む論文を執筆した。これは、交付申請書に記載した本研究課題での研究内容のうち、「アラル海災害への地域社会の適応と災害復興の通時的検討」、「小アラル海地域の持続可能な環境・社会・経済のあり方の模索」に相当する。また、7月から9月にかけ、これまでの小アラル海地域でのフィールドワーク時に撮影した写真を構成し、小アラル海地域での災害復興においてラクダを中心とする牧畜が果たした役割について、視覚的な理解を促す論考を執筆した。これは、「アラル海救済策・災害被害緩和策の整理」、「アラル海災害への地域社会の適応と災害復興の通時的検討」に相当する。そして、12月、3月に、アラル海地域に対する本格的な国際支援が始まった1990年代にアラル海問題にコミットした研究者とウェブおよび対面で面談を行い、本研究課題の内容の一つである「我が国によるアラル海災害に対するコミットメントの総括」について議論をした。その他、関連二次文献の購入と読解を行った。
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