研究課題/領域番号 |
17K17707
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
美学・芸術諸学
芸術一般
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
成田 麗奈 東京藝術大学, 音楽学部, 助手 (30610282)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 音楽史記述 / カノン / 近代フランス音楽 / カノン作曲家 / 西洋音楽史 |
研究成果の概要 |
第三共和政期刊行の音楽史書の調査から19名のカノン作曲家を抽出し、4つのグループに分類した(①オペラ作曲家②交響曲作曲家③フォーレ・ドビュッシー・ラヴェル④サティと六人組)。カノンの類型のうちイデオロギーとレパートリー、「成功のスキャンダル」の影響力が大きい事が分かった。 1870-1900年頃までは①を中心にカノン化が行われ、1900-1910年代には次第に②の重要性が増した。1920年代-1930年代には「フランス音楽の覇権が取り戻された」という音楽史観のものと①は凋落の象徴として軽視され、ドイツ音楽の影響が色濃い②は「前時代の作曲家」と位置づけられ、③④の重要性が強調される傾向が見られた。
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自由記述の分野 |
音楽学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において19名のカノン作曲家を抽出したことで、カノン批判をする基礎が構築できたと考える。逆説的ではあるが、カノン批判を行うためには、何が・誰がカノンとみなされたのかを明らかにせねばならないからである。 カノン作曲家として抽出された19名の作曲家に関しては、それぞれに異なる要件によりカノンと目された。音楽史書においては、しばしば折衷的な基準によりカノン作曲家が列挙される傾向にある。本研究において、各作曲家のカノンの要件の傾向を明らかにしたことで、今後何らかの基準に基づいて音楽史書が編まれる際に、カノン作曲家として言及されることの妥当性を判断するための指標の一つができたことに意義がある。
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