この研究においては、都市における区分所有建物(マンション)の荒廃の問題に対して、ドイツの法制度がどのような対応策を予定しており、実際にどのようにそれが運用されているかを調査した。研究調査により、ドイツにおいては、荒廃した区分所有建物に対する主たる対応としては、公法である建築法典に基づく対策が予定されており、他方で、建物が老朽化、荒廃に至る前の段階における対応として、私法上の多様な対策が講じられていることが明らかとなった。そこでは、特に建物の維持・管理上の措置や、所有権の放棄の可能性(ただし、判例はこれを否定する)も議論されており、これらの諸制度につき、具体的な事例を参考にしながら検討をした。
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