繊毛運動障害に伴う各臓器の機能異常については報告が増えているが、脳室上衣繊毛の運動と水頭症形成の関連性については報告が少なく、特に脳室上衣繊毛ダイニンの構成タンパクの解析については未だ報告がなく、本研究は極めて新規性の高いものであった。 繊毛運動障害では非閉塞性水頭症を呈することが明らかとなった。非閉塞性水頭症は日常診療で遭遇する疾患であるが、その発症の原因、増悪の機序については未だ明らかにされていない。非閉塞性水頭症の一因として繊毛運動障害の存在が示唆され、また増悪の機序として繊毛運動ベクトルの経時的障害が存在することが示唆された。今後非閉塞性水頭症に対する治療への展開が期待される。
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