研究課題
若手研究(B)
結晶性ポリマーの高次構造を解析することは,ポリマーの物性と機能の解明に関連して重要である。低波数振動スペクトルはポリマー高次構造に鋭敏であり,その簡便な分析法となりうるが,そのピーク帰属は不確かであった。本研究においては,低波数顕微ラマン装置を開発し,さらに独自の量子力学計算をピーク帰属に適用することで,代表的なポリアミドであるナイロン6の低波数振動ピークを帰属することに成功した。
振動分光
結晶性ポリマー,特に繊維素材として使用されることの多いナイロン6の低波数振動モードを,独自の量子力学計算に基づいて帰属できたことは,世界的に見て新しく,重要な成果である。ナイロン6の低波数振動ピークの強度はナイロン6結晶の面間隔と相関するが,その原因をピーク帰属に基づいて推測することができた。今後,低波数振動分光を,結晶性ポリマーの高次構造を解析する簡便な分析手法として使用する際に,今回得られた帰属は必須の情報となるであろう。