本研究では,死後脳MRI画像の濃淡形成において,金属沈着という機能的死後変化が及ぼす影響を検討した。ラット死後脳T2強調MRI画像において,被殻および視床に顕著な画像信号低下を認め,金属成分の沈着の可能性が示唆された。これらの部位について,金属含有酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の発現,および鉄成分の沈着の有無を病理学的に調べた結果,いずれも組織内での顕著な発現・沈着を認めなかった。以上から,器質的死後変化および金属沈着とは異なる何らかが,死後脳MRI画像の濃淡を変化させる要因として存在する可能性が示唆された。
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