研究実績の概要 |
我が国では“早寝早起き朝ごはん”という生体リズムを重視した生活習慣が推奨されて久しく、動物を対象にした実験が進められてきているが、ヒトを対象とした実験は数が少なく根拠も乏しいのが現状である。そこで、朝食の効果をさまざまな角度から検証することを目的とした。 健常若年男性10名を対象とし、連続6日間の朝食欠食と3食摂取試行を比較して、生体指標や生体リズムに差が生じるか否かを検討した実験では、1日の摂取エネルギー量が等しければエネルギー代謝には差が生じないこと、しかし血糖値の変動、特に就寝前の血糖値が朝食欠食試行では高値を示した。また、朝食欠食試行では6日間で体重が3食摂取試行と比べて有意に増加したことを明らかにした(Am J Clin Nutr, 2019)。また、深部体温や心拍変動、時計遺伝子発現など生体リズムに関する結果については、現在論文を執筆中である。 朝食欠食によって昼食後の血糖値が大きく上昇したのか、それとも1回に摂取するエネルギー量が多いため血糖値が大きく上昇したのかについて明らかにするために、若年健常者9名を対象に、ホルモン動態に着目して検討した結果、血糖値の急激な上昇・下降を防ぐためにも、朝食摂取の必要性が示唆された(Br J Nutr, 2019)。 運動のタイミングが生体リズムと時計遺伝子発現に及ぼす影響について検討した結果については、アクセプトされたところである(J Appl Physiol, 2020)。 毎日朝食を摂取している被験者と欠食習慣を有する被験者の唾液採取は少しずつ行っており、随時分析も行っているところである。
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