研究成果の概要 |
越境大気汚染が顕著な長崎に生育する常緑樹2種(ヒノキ, クスノキ)の葉に沈着した粒子状物質(PM)の量と金属組成の継時的変化を2017年4月から2018年11月にかけて調査した。葉面沈着PM量は、大陸からの気塊の輸送が顕著な春先に最も多く、この時期の葉面のPMには人為起源と考えられる鉛やヒ素、亜鉛などの元素が含まれていた。この鉛の同位体比は中国の石炭や鉛鉱石中のそれと同程度であったことから、中国大陸から越境輸送されたPMが長崎に生育する樹木の葉に沈着している実態が明らかになった。また、ヒノキの葉面沈着PM量はクスノキのそれよりも多かったことから、ヒノキはPMの影響を受けやすい可能性が示された。
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