研究課題
若手研究(B)
急性心筋梗塞マウスモデルにコルヒチンを投与することで心筋梗塞後の心機能低下が抑制され、慢性期の心不全および死亡率の改善がみられた。病理組織学的検討において、コルヒチンは心筋梗塞急性期の梗塞心筋局所における過剰な炎症細胞の集簇および炎症性サイトカインの産生を抑制した。炎症性サイトカイン抑制は全身性というよりは梗塞心筋局所で認められ、コルヒチンは梗塞心筋局所に作用するものと考えられた。その抗炎症メカニズムとしてNLRP3インフラマソームを介したカスケードが関与する可能性が示された。
循環器病学
本研究は、コルヒチンが梗塞心筋局所の過剰な炎症反応を抑制し、それにはNLRP3インフラマソームを介した炎症抑制メカニズムが関与する可能性を初めて示した。本研究結果は今後の心血管疾患の新たな治療開発に影響を与えるものと考えられる。しかし、NLRP3インフラマソーム阻害モデルを用いた検証が不十分であること、また血管の炎症抑制効果の検討は不十分であることから引き続き心血管領域におけるコルヒチンの抗炎症作用のメカニズムについて検証を続けていく。