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2021 年度 実施状況報告書

食用植物由来の機能性微粒子に着目した乳がん抑制作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K17961
研究機関宮崎大学

研究代表者

山崎 有美  宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (90576993)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード機能性微粒子 / 乳がん / 植物性食品 / カラーピーマン / カロテノイド / 食生活 / 加工特性 / マイクロRNA
研究実績の概要

本研究は、生体調節機能を有する因子として、野菜や果実などの植物性食品に含まれるエクソソーム様機能性微粒子(Edible Plant Derived Exosome-like Nanoparticles;EPDENs)に着目し、EPDENsの特性解析、EPDENsによる乳がん抑制の作用機構、EPDENsの加工特性を明らかにすることを目的とした研究である。これまでに、約100種類の食品由来のEPDENsより抗乳がん作用を有する食品9種類を見出し、赤、橙、黄3色の宮崎県産カラーピーマン由来EPDENsを選抜した。また、当該EPDENsが、ポリフェノール、核酸、タンパク質、脂質、糖質、カロテノイドが含まれること等、EPDENsの特性解析を進めてきた。
今年度は、昨年度までの研究で乳がん細胞増殖抑制作用を見出した、赤、橙、黄3色の宮崎県産カラーピーマン由来EPDENsに着目して研究を進めた。当該各色カラーピーマン由来EPDENsをヒト乳がん細胞株MCF-7に処理し、その増殖を経時別に評価したところ、3色全てのカラーピーマン由来EPDENsにおいて、時間依存的に細胞の増殖が抑制され、細胞致死作用が認められることが明らかとなった。また、当該各色カラーピーマン由来EPDENsを処理したMCF-7細胞の核の形態を観察したところ、核の濃縮、核の断片化が認められた。以上より、当該各色カラーピーマン由来EPDENsは、ヒト乳がん細胞に対してアポトーシスを誘導することが示唆された。
また、当該EPDENsの機能を食生活へと反映させるため、本研究結果により得た知見を基に、家庭で調理を行っている地域女性との対話を通して、毎日の食事に取り入れることが出来るEPDENs調理手順書を作成した。更には、作成した調理手順書に基づいた動画を作成し、国内外でその成果を発信した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、3年間の計画のうち3年度目に当たる。申請当初、3年度目は「EPDENsによる乳がん抑制効果の作用機構・動態解析」及び「EPDENs調理指針の作成」の実施をかかげた。このうち、「EPDENs調理指針の作成」については目標を達成し、また、当初予定していなかった動画を作成することで、本研究結果により得た知見を国内外に広く発信することができた。また、「EPDENsによる乳がん抑制効果の作用機構・動態解析」については、ヒト乳がん細胞におけるEPDENsの動態を解析することができ、今後引き続き進めていくEPDENsによる乳がん抑制作用機構の解明において重要な結果を得ることができたと思慮する。
一方で、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、実験室への入退出が制限されたため継続的な細胞の維持管理や細胞試験を行うことが困難であった。また、細胞培養基材の納品の遅延等で実験を実施できない期間が生じた。当該状況により、EPDENsによる乳がん抑制効果の作用機構解析では、解析に着手したものの、研究計画修正を余儀なくされた。
以上より、現在までの当研究の進捗については、やや遅れているとした。

今後の研究の推進方策

今後は、抗乳がん作用を示すカラーピーマン由来EPDENsを用いて、その細胞致死作用を誘導する作用機序を、フローサイトメトリー解析やWestern blotting 等により明らかとしていく予定としている。また、これまでの研究により、カラーピーマン由来EPDENsがヒト乳がん細胞株MCF-7に取り込まれることで細胞増殖抑制作用及び細胞致死作用を示すことが示唆されている。一方で申請者らは、植物性食品由来EPDENsが、エンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれることを明らかとしている(Yamasaki et al., 2021)。当該知見より、EPDENsの取り込みを阻害することでEPDENsの抗乳がん作用は回避されるかどうかを評価するため、カベオラ型エンドサイトーシス阻害剤としてメチル-β-シクロデキストリン(MβCD)、クラスリン依存性エンドサイトーシス阻害剤としてクロルプロマジン塩酸塩(CPZ)、マクロピノサイトーシス阻害剤としてLY294002を使用して、EPDENsの細胞内への取り込みがEPDENsによる抗乳がん作用に影響を及ぼすかどうかを検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、実験室への入退出が制限されたため継続的な細胞の維持管理や細胞試験を行うことが困難であった。また、細胞培養基材の納品の遅延等で実験を実施できない期間が生じた。当該状況により、研究計画修正を余儀なくされたため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Onion (Allium cepa L.)-Derived Nanoparticles Inhibited LPS-Induced Nitrate Production, however, Their Intracellular Incorporation by Endocytosis Was Not Involved in this Effect on RAW264 Cells2021

    • 著者名/発表者名
      Masao Yamasaki, Yumi Yamasaki, Rina Furusho, Hayaka Kimura, Ichiro Kamei, Hiroko Sonoda, Masahiro Ikeda, Tatsuya Oshima, Kenjiro Ogawa and Kazuo Nishiyama
    • 雑誌名

      molecules

      巻: 26 ページ: 2768

    • DOI

      10.3390/molecules26092763

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhanced water dispersibility and permeability through a Caco-2 cell monolayer of β-cryptoxanthin extracted from kumquats by complexation with casein2021

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Oshima, Koki Takahashi, Asuka Inada, Masao Yamasaki, Yumi Yamasaki, Nozomu Eto
    • 雑誌名

      Food Chemistry

      巻: 360 ページ: 129822

    • DOI

      10.1016/j.foodchem.2021.129822

    • 査読あり
  • [学会発表] 宮崎県産カラーピーマン由来機能性微粒子の乳がん抑制作用2021

    • 著者名/発表者名
      山﨑有美, 成合美香, 宮﨑朱里, 大島達也, 松本朋子 ,福井敬一, 吉山佳世, 近藤知已, 山﨑正夫
    • 学会等名
      宮崎大学産学・地域連携センター 第28回技術・研究発表交流会
  • [学会発表] 工藤七海、廣澤直也、野崎雅彦、湯浅友識,金井祐基,平川良子、山﨑正夫、山﨑有美2021

    • 著者名/発表者名
      ブルーベリー葉を基軸とした機能性フードペアリングによる抗炎症作用評価
    • 学会等名
      日本農芸 化学会2022年度大会

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公開日: 2022-12-28  

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