研究課題/領域番号 |
17K18032
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
前林 紀孝 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (30735733)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 年金目的消費税 / 利他性 / 経済成長 / 財政健全化 |
研究実績の概要 |
Ⅰ.賦課方式年金制度(消費税を財源)の経済成長への影響の解析的分析、Ⅱ.若年世帯の負担減と年金財源の充足の両立の可能性についての解析的分析の両方を英文論文“Is unfunded social security system good or bad for growth? A theoretical analysis of social security system financed by VAT”としてまとめ、(1)74th Annual Congress of the International Institute of Public Finance (IIPF 2018)、(2) The 2018 Public Economic Theory conference (PET2018)、(3)2018年度日本経済学会秋季大会の3つの学会で口頭報告することが決定済みである.((1)と(2)は英語、(3)は日本語による報告である.) 本稿では家計内の利他性を考慮した世代重複モデルにおいて年金目的消費税が経済成長および財政健全化に及ぼす影響について解析的に分析を行い以下の結果を得た. 家計内の利他性が十分高く、親が子供に教育投資と遺産の両方の所得移転を行う場合には、年金目的消費税それ自体が経済成長を促進することが分かった.そして、世代間の負担の公平性の観点から若年世代の所得税ベースの年金負担を下げてその分を老年世代の消費税負担でまかなうことで経済成長は高まり長期的な財政の健全化につながることが分かった.一方、親の利他性がそれほど高くなく、教育投資という所得移転しか行われない場合には、必ずしも年金目的消費税の導入が経済成長を高め、財政の健全化にはつながるとは言えないということが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ⅰ.賦課方式年金制度(消費税を財源)の経済成長への影響の解析的分析、Ⅱ.若年世帯の負担減と年金財源の充足の両立の可能性についての解析的分析の両方を英文論文“Is unfunded social security system good or bad for growth? A theoretical analysis of social security system financed by VAT”としてまとめ、(1)74th Annual Congress of the International Institute of Public Finance (IIPF 2018)、(2) The 2018 Public Economic Theory conference (PET2018)、(3)2018年度日本経済学会秋季大会 の3つの学会で口頭報告することが決定済みである.((1)と(2)は英語、(3)は日本語による報告である.) 計画書どおりのペースである。さらに審査を通過して日本国内、海外の著名な学会での報告を受理されているのでおおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
学会でのコメントをもとに論文として完全に仕上げることが今年度の1点目の目標である。また、経済成長と年金目的消費税の関係はある程度解析的に示せているが財政健全化につながるかどうかのディスカッションについてはもう少し解析的な詰めが必要である。 引き続き資料や文献の取集、研究報告による意見交換をつうじて論文をより詳細に仕上げジャーナルに投稿することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当時は数値計算に必要な容量の高いパソコンと処理ソフトを物品費に計上していたが、論文中の多くの結果が理論的(解析的)に証明でき、大容量の数値計算が必要でなくなったため、当初予定したよりも支出額が少なく済んだ結果、若干の次年度使用額が発生した。
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