本研究の学術的意義は3つある。1つ目は、旅行者の意思決定構造を明らかにし、地域の観光資源の何が観光客を惹きつけているのかについて、居住地と当該地との距離(時間価値)を考慮し明確に示した点である。2つ目は、TCM-CBにおいて従来の便益推計の手法よりも精緻な推計方法が可能となる方法を提案し、福島のレクリエーション便益の損失を推計した点である。3つ目は、地域の観光資源の劣化が観光客の減少に繋がり大きな観光便益の損失に繋がることを、沖縄県の離島を対象に実証的に明らかにした点である。今後、サステイナブルツーリズムを進めていく上で、重要な知見を提供した点において社会的意義は大きいと考えられる。
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