これまでに我が国では循環器疾患やその危険因子について研究が進められてきた。その結果から循環器疾患の危険因子は大小様々な動脈の動脈硬化の進行を促し、循環器の障害を引き起こすことが明らかにされてきた。我々は、動脈硬化は感覚器の障害にもつながると考え、職域の健康診断の結果を用いた疫学調査を行った。その結果、尿蛋白陽性所見が聴力低下の有所見率や将来の聴力低下の発生率に関連していること、高血圧者では聴力低下の有所見率が高いことを明らかとした。本研究により、日本人において循環器疾患の危険因子が聴覚器の機能低下に関わる可能性が示された。
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