研究実績の概要 |
本研究では、非ヒト霊長類をモデルとして、脳進化マップ・脳発達マップを構築し、人類進化に伴う各脳領域の経時的変化の定量画像分析を行う。これにより、各脳領域の構造と領域間の構造ネットワークにおけるヒトの特異性を見出し、その発達様式を明らかにすることを目指す。 H29年度は、米国のJohns Hopkins University School of Medicineの森・大石研究室の技術的支援のもと、主に次の三つの研究開発を行った。(1)京都大学霊長類研究所のチンパンジーの脳MRIのデータベース・シスムテムの開発に向けて、データ整理を行った。(2)慶應義塾大学の発達期のマーモセットの脳MRIと用いて、脳区分マップの構築のための予備的検討を行った。(3)日本モンキーセンターが所有する霊長類脳標本を脳MRIのデータベース・システムの開発を行った。まずは、霊長類12種(ピグミーマーモセット、ヨザル、シロガオオマキザル、カニクイザル、ニホンザル、ボンネットマカク、トクモンキー、サイクスモンキー、アカオザル、シュミッドグエノン、ブラッザグエノン、テナガザル)の脳MRIを対象に日本モンセンターより公開する予定である。主な研究成果として、2本の学術論文(Sakai et al., Neuroscience Research, 2017; Sakai et al., PLOSONE, 2017)を出版した。また、2017年10月には、アトランタにて、Georgia State UniversityのLanguage Research Center主催するLANA (Learning from Apes and other Nonhuman Animals--or something similar!) conferenceで、"Development and evolution of human brain: insights from comparative anatomical MRI between chimpanzees and humans"という演題で基調講演を行った。現在、(3)の日本モンキーセンターの霊長類脳標本の脳MRIデータベースに関する論文を投稿し、改稿版の作成をしている(Sakai et al., 投稿中)。
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