本研究は,就学前児がどのように情動調整方略を認識しているかを明らかにするものであり,就学前児の情動調整方略への認識の特徴とそれに関わる個人要因,日常場面での社会的行動との関連を検討した。得られた結果より,(1)就学前期において,情動調整方略のうち行動方略に対しては一定の認識がされているものの,認知方略への認識は発達途上であること,(2) 行動方略と認知方略に対する認識は,どちらも言語能力,誤信念理解との関連が見られること,(3)個別調査で見られる就学前児の情動調整方略への認識と,養育者が評定する社会的行動には部分的な関連が見られることが明らかになった。
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